萱アートコンペ2020 10/3~10/25

Comment by Masanori Yamagai

萱アートコンペ2020 審査講評  
山貝征典
2020/10/02

     初めての審査参加となりました、ありがとうございました。新入りだからこその「まだよくわかっていない、全体像をつかんでいない視点」をこの場に入れることが自分のミッションだと思い、審査にのぞみました。ポイントとしては、このご時世だからこその前向きで、鑑賞者に新しい体験をもたらすようなもの、ということに注意して選考しました。
     特に惹かれた作品は、村松範男さん《めぐり逢い》の色選択のセンスのよさと軽さ。また長雪恵さん《すすむ》の構成の楽しさ、優しいけれど迫力がある画面です。さらにその他受賞・入選の作品はそれぞれはっきりと伝わってくる、一定のクオリティの高さと魅力があり、審査員の討議の中でもスムーズに集約していったように感じます。
     応募作品全体を見た中で感じたのは、クオリティが大きく二分しているようだ、ということです。アートになっている、またアートとして成り立っており鑑賞者を吸い寄せる力がある作品からは、いろいろな着眼点が生まれ、コメントが次々出てきます。一方同じ空間に並んでいても、何度通過してもあまり視界に入ってこない作品は、アートとしては何かが足りないのでしょう。アート的なものを造形・創作・表現することには、ほとんどの場合意味がありコンセプトもあります(自覚していなくても)。しかし、ねらいや動機がはっきりしていなくても、不順でもあるいは純粋すぎても、最終的につくりだされたものが優れてさえいれば、アートとして私たちに伝わってくるものが必ずあります。そのような作品や表現に出会えるのはとてもうれしいことなので、今後もまた楽しみにしています。