萱アートコンペ2025 10/5~10/26

Comment by Tsuneko Koike

萱アートコンペ2025 審査講評  
小池つね子 
2025/9/11

     今年も膨大な数の作品が会場に並び、作品選考に昨年以上に迷いました。
     会場の壁一面にぐるりと作品がならんでいる中で、久世なつかさんの作品を見たとき、彼女の描く線の細さが気になりました。
     針の穴を通ることができるような線を描ける人。
    線が細ければ細いほど、デリケートさ、繊細さ、そして緊張感がでてきますが、彼女の作品は緊張感というよりは、軽やかな感じがして描かれている線すらも見ているうちに自分の中で消えていくような印象をうけました。
     シンプルなスタイルをとりながらも、ミニマルアートともまた違った魅力があり、その透明感が目をひく作品でした。

萱アートコンペ2024 審査講評  
小池つね子 
2024/9/12

     蔵の壁一面に飾られた応募作品の数々。選考するにあたり、この膨大な作品の一点一点と向き合う難しさを感じました。ときに隣の作品にひっぱられたり、ゆるめられたり。
     周りに何もない状態でこの一点を見たら、どう見えるのだろうと考えることに専念しました。中山愛美さんの作品は、平面でありながら立体的な質感や奥行きを感じました。
     暗号のように浮かび上がってきている形が、時空を飛び回っているように見え、それは今の自分たちの周りの世界そのもののようでした。
     この作品をじっと見ていたら「素粒子」という言葉がいつのまにか自分のなかに浮かんでいました。
    見えないものを描く、この作家の今後の作品がまたどのような展開になっていくのか見てみたいと思いました。