
大賞 oasis/よく通る庭
賞金¥200,000-+作品買取り
吉浦眞琴(京都府)
価格 ¥49,500 –
このたびは大賞をいただき、大変光栄に思います。
作品は、夏の散歩で何度も通る庭を銅版画の技法であるドライポイントで刻んだものです。
目に映る小さな気配や、体に触れる光と色が、いつのまにか版の中で形を帯びていく、その過程を大切にしています。
このような賞をいただけたことが、静かに背中を押してくれているようで、これからの制作の励みになります。
ありがとうございました。
作品について
私は銅版画の技法であるドライポイントという、針状のニードルという道具で版を直接引っ掻きます。
版に溝やめくれ、バリができることでその凹凸部分にインクが引っかかります。
このものを直接引っ掻くことでできる滲んだような線が特徴的な技法です。
今回の作品は色ごとに、赤、緑、黒の版を用意しそれぞれ描画し、一枚の紙に刷り重ねられています。
私はこの銅版画の技法を、銅の板を使用せずにアクリルの板に描画を行っています。
ドライポイント自体は古くからある技法ですが、現代の素材にも転用することができるので、素材は探りながら制作を行っています。

優秀賞 変幻の景
賞金¥100,000-
桑野冴佳 (滋賀県)
水性キャンバス・墨・青貝箔・雲母・胡粉・合金(錫、鉛)・合成樹脂
価格 ¥120,000 –
私は風景を起点に「そこにあるなにか」というテーマで制作を行なっています。その「なにか」というのは風景としてそこにある限定的で ”見えて” いるものを差すわけではありません。光や影、自然の形象や木々がザワザワと鳴る音の在り方や気配、日常で目に映る風景から派生して、空気感や余白、線と形、意識と無意識の狭間にある感覚を大事にしながら、具象的要素を削ぎ落とし抽象化することで見えてくる風景を私は描きたいと思っています。
今回の『変幻の景』は雨が降った後の水分を纏った木々が水蒸気へと変容していく目に見えない働きに思いを馳せ自然の循環を形にしたいと思い描いた作品です。

奨励賞 緑、ブルー、円いもの
賞金¥50,000-
tooi (東京都)
価格 ¥30,000 –
自宅にある、使い道のなくなった様々な材料を用いて作品を制作しています。
段ボールの切れ端に、たまたま近くにあった物をくっつけてみたり、捨てようと思っていた紙切れが意外な景色をつくってくれたり。作品はほとんど偶然によって、思いもよらぬ方向へとかたちを変えていくので、出来上がったものを見ると謎の飛来物を受け取ったような気持ちになります。
毎回それが面白くて、また次のものをつくろうと思わされます。
素材
段ボール、緩衝シート、紙、フロッキーペーパー、展覧会のフライヤー、トレーシングペーパー、PPバンド、お菓子の袋、水彩、ボールペン

梅田版画工房賞 Strata of Self (経験が織りなす層)
TOYO (千葉県)
価格 ¥66,000 –
梅田版画工房賞に選出頂き、ありがとうございます。この作品の制作時は苦悩していた時期で、自分自身の中で自問自答しながら描き、辿り着いた作品であるため、このような素敵な賞を頂けとても光栄です。私は「距離」「関係性」「繋がり」「経験」をテーマにアクリル絵の具を使い描いており、紙は経験の層を、丸や線は人や人との繋がり、歩みや軌跡を表現しています。壁にあたって怪我をしてもそれはいつしか治り糧となる、そういった想いも込めています。
技法
キャンバスにアクリル絵の具、鉛筆、ペン、紙(和紙他)。
ベースはアクリル絵の具ですが、紙に描いたものを切って、貼り、また絵の具をのせる、を繰り返しています。
細かな箇所は、鉛筆やペンを用いています。
今回は、一部の箇所を破り、そこに現れた層を傷(瘡蓋)にみたて生々しさも表現しました。

昭和蔵賞 るすをうつす
横尾拓郎 (千葉県)
価格¥85,000 –
居場所や住処の不確かさや、移動の自由について考え作品を制作しています。
今回は、この概念を画面上の「家の不在」というテーマを用い、建物を「描かない」ことによって版画作品を成り立たせる試みをしています。モチーフとして、家の形を抜いた繰り返し可能な形の壁を、ブロックを使って制作、そのモチーフをコピー機に通し、色分解、再構成し、手刷りのリトグラフにすることにより、それぞれ大きく違う体験に基づく筈の「家」のシンボルとの距離を遠ざけ揺るがせていくことで立ち上がったイメージが本作になります。
技法について
写真製版と描画を組み合わせたリトグラフ作品と、本作のための額を手制作。

Blanc賞 parfum
渡辺美弥 (神奈川県)
価格 ¥27,000 –
この度は素敵な賞をありがとうございます。
本作はカラーエッチング・アクアチントの作品です。
銅版を凹凸版刷りを含めて4回プレスしています。
最後の版を刷った時、はじめて現れる儚い色にひかれます。
モチーフは作業で使う「ラベンダーオイル」の小瓶です。
香りの粒がふわりと立ち上がり、別の空間や時間がよみがえる。そんなイメージです。

森と人と賞 記憶のカケラⅡ
栗田なおみ (熊本県)
非売
この作品は、日頃よく行く山や森での記憶を元に複数のシーンを集約しながら制作したものです。記憶を辿ると時には鮮明、時には曖昧で色彩や形、光、影、空気感などが交錯した状態で映像化されます。そんな様々な要素の中から本質的部分だけを取り出し、具体性を持たないからこそ見えてくるリアリティの表現を目指しました。
技法
キャンバスに油彩

グルーバーレザー賞 color#56
久世なつか (愛知県)
価格 ¥60,000-
2019年のある日、ふと、刷毛を絵具に浸し紙上で滑らせると思いもよらない線の軌跡が現れ、その美しさに心を打たれました。
以来、表具用の糊刷毛を用いて“color”シリーズの制作を続けています。
本作「color#56」は暖色系と寒色系を基調としながらくっきりと強く鮮明なまっすぐの線や穏やかに他色と同調する線などが混ざり合い、溶け合いながら幾重にも重なり多彩な色の軌跡が生まれました。
無数の色の線たちに、見る方それぞれの想像を膨らませていただけたら幸いです。

FLATFILE賞 杉の紅葉
井上豊 (香川県)
価格 ¥20,000-
このような賞を頂きありがとうございます。
立体(3次元)の表面が平面(2次元)ならば、いつも見ている3次元の景色は4次元の表面なのではと考え、たまに隙間ができて上の次元が覗くという感じを、技法に応用出来ないかと、模索しながら製作を続けてきました。
この絵は山に囲まれた暮らしのなかで名も無き山の抽象性を表現したいと思うようになり描いた内の一枚です。冬になると杉の葉も枯れて、紅葉しているかのように見えるのに不思議さを感じて描きました。
素材と技法
水彩紙に水彩絵具
鉛筆で下絵を描いたら紙の白を残しながら色を塗ります。今回は赤い場所は2色の赤、青い場所は青と緑を交互に重ねて塗ってます。
次に最後の色を残しながら別の色、緑や黄色等を塗り重ね、隙間から最初の色が覗くように作りこんでいきます。紙を漉くイメージで作りこみます。
次に黒の線で描いていきます。自分なりの空間のイメージを線にのせて描きます。
川をグラデーションで表現し、筆に水をつけて消したりして水の流れを表現しました。山の一部も、水で消しながら描いてます。
線で、空間を描くように仕上げました。

佳作 ロビン
川上貴弘 (奈良県)
アクリル キャンバス
価格 ¥30,000-
ロビンは「誰が殺したクック•ロビン」で始まる童謡で非常に有名ですが、どんな鳥かわかる人がそんなに多くありません。不思議です。
この作品は特に童謡とは関係ありませんが、ロビンを鮮やかな色彩を使って線で表現しました。

佳作 満開
ティデン (埼玉県)
¥85,000-
緻密な点描と刺繍の組み合わせで「満開」という瞬間の美とそこに宿る情感の流動性を捉える試みです。独立した点と点の繋があって、その喜びや憧憬、あるいは一抹の憂いといった刻一刻と変化する心のざわめきを可視化します。
*上記受賞作品は、ギャラリーBlancにて展示されます。
*販売可能な作品は、会期終了後のお渡しで、販売することができます。(全応募作品)
*応募総数117名、155作品から審査いたしました。
*入賞・入選作品画像は、各メディア等に使用されます。
*受賞者・入選者(敬称を略させていただきます)
入選作品23作品(酛蔵にて展示 / *他応募作品は全て昭和蔵にて展示いたします)
*タイトル・作家名・出身都道府県・価格