萱アートコンペ2024 審査講評
小池つねこ
2023/9/12
蔵の壁一面に飾られた応募作品の数々。選考するにあたり、この膨大な作品の一点一点と向き合う難しさを感じました。ときに隣の作品にひっぱられたり、ゆるめられたり。
周りに何もない状態でこの一点を見たら、どう見えるのだろうと考えることに専念しました。中山愛美さんの作品は、平面でありながら立体的な質感や奥行きを感じました。
暗号のように浮かび上がってきている形が、時空を飛び回っているように見え、それは今の自分たちの周りの世界そのもののようでした。
この作品をじっと見ていたら「素粒子」という言葉がいつのまにか自分のなかに浮かんでいました。
見えないものを描く、この作家の今後の作品がまたどのような展開になっていくのか見てみたいと思いました。