萱アートコンペ2020 審査講評
2020萱アートコンペ審査を終えて 木村仁
2020/09/07
デユシャン以後の芸術は死んだのか?
時代から置いてきぼりになったかに見える従来の”美術”は、もがきながら新たな表現を模索して、一部は映像や写真、パフォーマンス、モダンダンス、インスタレーションなどと多岐に分岐点を見い出し、さらには昨今のコロナによるOnline表現も加わり、それぞれがそれぞれに物語を拾いつつ、次なる世界を模索しているかに見える。従来の”美術”とは絶滅危惧種にカテゴライズされてしまうのか?しかしながら一方において、かつての芸術余韻をあきらめきれず、先人がかつてたどってきた情念を今の時代に新たに解釈し、表出してゆこうとするドグマがあることも見逃すことは出来ない。
kaya art competitionは、今日崩壊しつつある従来型アートを今の時代に照らし合わせつつ再度よみがえらせる作業ともいえよう。
本年5周年目を迎えたアートコンペの応募者は、ひとり長野県を乗り越えて18都道府県に及び、総計75名131点となったという。
本コンペはご承知のように物理的な制約からサイズに制限を設けているが、一面では日本家屋を見据えた積極的なサイズ選定という意味合いも持ち合わせている。その結果、表現手段としては選択の幅が広がり、応募者にとっては幾ばくかのアドバンテージがあるとも言えるが、選者にとってはより注意を支払わなければならない複雑さも引きずっている。
審査には十分な論議を尽くしたつもりであるが、解釈の幅が多岐にわたる故、結果はある一面であることも否めない。言うまでも無いが、選外とあっても無駄に卑下することも無い。
縁あって応募された方々には今回の経験を糧にしていただき、今後のご活躍の礎となれれば望外の喜びです。
萱アートコンペ2019 審査講評
木村仁
2019/09/07