萱アートコンペ2020 10/3~10/25

Comment by Rieko Koyama

萱アートコンペ2020 審査講評  
小山利枝子 
2020/10/03

     作品が整然と展示された審査会場の昭和蔵に足を踏み入れた瞬間に応募作品の充実度が会場の緊張感を生み出しているのを肌で感じました。萱アートコンペは回を重ね全国からの応募作品も順調に増えています。それぞれのバックボーンの中で制作し表現を発表する場を求めている多くの作家や作家の卵の存在の重さを感じながら審査させていただきました。小さなサイズに限定されているのが萱アートコンペの特質です。小さなスペースに素材と技法を駆使してコンセプトによる情報や感覚的イメージを取り込み構成した結果が作品になっていて、大画面で体感するのとは対局にある、作家の息吹や意識がはっきり感じられるという特徴があるでしょう。別な言い方をすれば作家が表現の先に何を目指しているのかが感知しやすいとも言えます。疋田さんの作品は、絵の具を通して画面と対話し、茫漠とした着地点を遥か遠くに置いて、その場所を探している。簡単に答えを出さないで自分の表現の行き先を探しているリアリティーが、他の作品とは全く異質な強さを持っていました。

萱アートコンペ2019 審査講評  
小山利枝子 
2019/09/14

 4回目にして応募作品数は倍増し、各作品の完成度も格段に上がった。作品間の差を見極めるためには、より表現の本質的地平についての問いかけを自らにしながら各作品と対峙する審査となった。
 作者の脳内にあるイメージに向け一直線に作画してある作品はどこか平板で奥行きに欠ける。私が探したのは、作者の意識がイメージやコンセプトと現実としての画面の間を行き来しながら、手の感触を通して画面と丁寧に対話している作品だ。その意識と行為を通して作品は作者から自立し始め、観る者の意識や感覚に侵入して来る。絵画表現の持つ静かだが根源的な力だ。

 三須登喜子氏の作品は最小限に限定された図像とマチエールが、触覚的な感覚を伴うイマジネーションを喚起して、応募作品の中でも際立って洗練された魅力を持っていた。また市川絢奈氏の作品の対象や画面を見つめる息遣いを感じる絵画的リアリティーが強く印象残った。

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